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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
だからといって、私は矢野くんのことを嫌だとは思わない。もちろん好きだとか、そういう気持ちとも無縁だった。
いつも同じ教室で退屈を共有する、クラスメイトという名の景色の一部。そんな彼と、私は身体を交えようとしている。
微かな変化の兆し、それだけに心を寄せながら。
「はあ……はあ……」
「……」
呼気を荒げる矢野くんは、かなりの時間をかけて、私の胸を一心に揉み続けていた。はじめの内は両手が左右対称に動くと、乳房をぐるぐると回す。それから時折、指が食い込むくらいに強く掴んだりした。
遊んでいるのかな? そんな思いで、矢野くんの顔をじっと見上げてみる。でも、額に汗を滲ませる姿は一生懸命に思え、決してふざけているわけではなさそう。
激しく興奮しながらも、矢野くんも戸惑っていた。どのようにどれだけ続ければいいのか、きっとわからないみたい。
いくら触れてみても、満たされるようで満たされることはないのだろう。だけど、それは当然のこと。所詮はぶるぶると揺れるだけの、脂肪の塊でしかないのだから。
「あの……」
「え?」
「ち……乳首を、吸ってもいい……かな?」
その申し出は当時の私にとって、とても意外なものだったけれど、断る理由もなかったので、こくりと頷く。
すると――ちゅばっ!
「!」
矢野くんが遮二無二、私の乳首に吹ついてくる。思いの外、強烈に吸われたものだから、少しだけ驚いてしまう。
「……」
暫くそうされていたら自然と、まだ乳飲み子だった弟が母から授乳されている場面が思い出されていた。私のからはなにも出ないよ、と思わず口走りそう。少し焦れるような、この不思議な気持ちはなんなのだろうか。
「矢野くん」
「え?」
「もう、いいですよ」
「いいって……?」
きょとんとする彼の顔を真っ直ぐに仰ぎ、私は言う。