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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
繋がりを続けるためには、彼の男の人の箇所を奮い立たせる必要があった。私はそれを直感で理解し、そして胸の奥から湧き上がるような望みを体現する。
身体の使い方なんて、わからなくても。
「ど、どうしたの? こんなっ……ぐっ⁉」
本能の赴くままに、彼自身を、じわり、じわり、と搾り上げていく。
そして、苦しげな声を漏らす彼の顔を抱き寄せ、私は耳元で囁きかけた。
「ねえ、お願い。もっと、炸裂させて」
「ぅう、ああああぁぁああぁ…………っ!」
矢野くんの絶叫にも似た叫びは、その後も幾度となく繰り返された。彼の限界を超えて、何度も何度も――。
あの日から、私の日常が変わったのは確かなこと。セックスにより、闇が白く塗り固められたイメージさえあれば、悪夢に悩まされることもなかったからだ。
けれど、それも完全ではない。否、寧ろ……。
その後、矢野くんと言葉を交わしたのは、一度きりのこと。
「矢野くん」
あの日に一緒に帰った路地で、彼の背中にそう呼びかけると。
「――!?」
矢野くんは、ビクリと肩を大きく揺らした後で、恐る恐ると私の方を振り向くと、じっと視線を合わせた。
すると、数秒して。
「も、もう……」
「もう?」
「……ゆっ、許してください!」
矢野くんはそう言うと、私に背を向け一目散に駆け出して――逃げ出していったのである。
その姿を見て、私がどう感じたのか。それは、その後に呟いた一言に集約されているだろう。
「まあ、いいか……別に、彼でなくても」
今、涼一さんにすべてを語りながら、ようやく自らの言葉の哀れさに気づく。
そう、私は哀れな生き物だ。
悪夢を恐れる余り、気持ちを置き忘れてしまった。
セックスも、私を救わない。
そんなことに、ようやく……。