この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「……」
このままでは、本当になにも言ってあげられそうもない。じゃあ、代わりになにかしてあげられることはないのか……?
彼女が俺に望むことなら、それは、はっきりと明言されている。それは、男として彼女を抱くこと。前回のラブホテルの夜と同様。だけど、それでは……。
「ステロイドだったんです」
「……え?」
唐突に発せられた彼女の言葉に、俺は思わず間の抜けた声で反応する。
「お薬とかの」
「あ、ああ……それが?」
「私にとって、セックスとは……そういうものだったのかと、ふと思ったんです」
「そっか……」
中学生のころ、皮膚炎の患部にステロイ軟膏を使用したことがあった。炎症はほんの一日でたちどころに綺麗になったが、皮膚科の医者からは継続的に使用するのは避けた方がいいと、そんな風に言われた覚えがある。
効き目が強い分、その反動もあるということなのだろう。すなわち、副作用。彼女が言いたいのは、そういう意味のようだ。
「ふふ」
意外にも、彼女の口から微かな笑みが零れる。
「つっちー?」
「ごめんなさい。そんないいものでは、ありませんね」
彼女は言いながら、小さく首を左右に振った。
「ちゃんとしたお薬なら、適切に使えばなんの問題もないのです。勝手に乱用したのは私自身なのに……この期に及んで、なにかのせいにしようだなんて」
「いや、別にそんな風には思わないけどな」
「さっき、真っ黒な闇が白くなったと、そんなイメージをお話ししました」
「ああ……なにかが炸裂すると、白いペンキが闇を隠す――いや、覆うだったかな?」
「いいえ、〝隠す〟で、いいと思います」
「?」