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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


「……」

 このままでは、本当になにも言ってあげられそうもない。じゃあ、代わりになにかしてあげられることはないのか……?

 彼女が俺に望むことなら、それは、はっきりと明言されている。それは、男として彼女を抱くこと。前回のラブホテルの夜と同様。だけど、それでは……。

「ステロイドだったんです」

「……え?」

 唐突に発せられた彼女の言葉に、俺は思わず間の抜けた声で反応する。

「お薬とかの」

「あ、ああ……それが?」

「私にとって、セックスとは……そういうものだったのかと、ふと思ったんです」

「そっか……」

 中学生のころ、皮膚炎の患部にステロイ軟膏を使用したことがあった。炎症はほんの一日でたちどころに綺麗になったが、皮膚科の医者からは継続的に使用するのは避けた方がいいと、そんな風に言われた覚えがある。

 効き目が強い分、その反動もあるということなのだろう。すなわち、副作用。彼女が言いたいのは、そういう意味のようだ。

「ふふ」

 意外にも、彼女の口から微かな笑みが零れる。

「つっちー?」

「ごめんなさい。そんないいものでは、ありませんね」

 彼女は言いながら、小さく首を左右に振った。

「ちゃんとしたお薬なら、適切に使えばなんの問題もないのです。勝手に乱用したのは私自身なのに……この期に及んで、なにかのせいにしようだなんて」

「いや、別にそんな風には思わないけどな」

「さっき、真っ黒な闇が白くなったと、そんなイメージをお話ししました」

「ああ……なにかが炸裂すると、白いペンキが闇を隠す――いや、覆うだったかな?」

「いいえ、〝隠す〟で、いいと思います」

「?」

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