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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
そうだ。彼女は旅行中にもかかわらず、SNSで闇雲に相手を求めていた。それを見過ごすことができず、結局は俺自身が彼女と……。
「誰でもいいから、この闇を消し去るぐらい滅茶苦茶に抱いて欲しかった。そのために、男の人が喜ぶことなら、なんでもしました。淫らで恥知らずな姿を、好きでもなんでもないない人たちに、晒し続けてきたんです」
自分自身を責めるためだけに、彼女は言葉を発している。そう思えた時、なんとも居た堪らない気持ちが生じた。
「つっちー、それ以上はもう――」
「嫌、ですよね」
「え?」
「こんな女……誰だって……涼一さんも」
「そんな」
静かな林道の脇に車を停める。彼女と向き合って話さなければならないと、そう強く思った。
でも、どう向き合えばいい?
彼女は、自分のこれまでの生き方を卑下している。この上もなく、痛烈に悔いているのが伝わってくる。
松川土埜という女の子の苦しみの根源は、彼女自身がもたらしたものではない。間違ったかもしれない。愚かだったかもしれない。だが、それは理不尽な不幸が、彼女を襲った結果だ。
彼女はそれを、誰のせいにもしない。だからこそ、無限の苦しみを心に押し込めている。
「……」
「!」
視線を合わせると、彼女はそっと顔を背けた。それまでのように、見つめ続けることはしない。まるで、その眼差しに宿る真意を、俺に悟らせないように。