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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「……なにもない男だよ。つっちーにだって、特別なにかをしてあげたわけじゃない」
「見知らぬ人に抱かれようとする私のことを、気にかけてくれました」
「だ、だけど……」
結局は、俺も彼女を抱いている。〝矢野くん〟や、この前の〝オジサン〟と同類ではないのか。
「今も、こうして向き合ってくれています。それだけで、ずいぶんと救われます。それに、あのホテルの時にも」
「え?」
「涼一さんは辛そうでした。私を抱きながら、とっても……そんな顔をする男の人は、はじめてだったんです。今までの男の人たちは、私を見る目にどこか欲望が漲っていて、だから私も悪夢を振り払うため、都合良く利用することができました」
「そ、それは俺だって……男の欲望の部分に屈したというか……そんな後ろめたさがあって、だから、そんな風に見えたのかもしれない。単に、それだけのことだ」
「後ろめたいのは、私が瑞月ちゃんの連れてきた友達の一人だから、では?」
じっと見つめられて、思わず息を吞む。本当に、吸い込まれそうな瞳だ。
「そ、そうじゃない。いや、それもゼロとは言い切れないけど……ともかく、あの時は、つっちーにとって、つっちーを抱くことが解決じゃないって、そう感じながらも……望まれたのをいいことに、君を抱いている自分を正当化してる気がして……なんだか、嫌だった」
「ごめんなさい」