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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
そうしてあげたいと、思わせるくらいに今の彼女は痛々しく、そして健気だ。同じところで、この気持ちが何度も何度も揺れる。
俺の本当の気持ちは、どこにある? 同情は禁じ得ない。だけど、それだけじゃない部分で、ほっとけないという、この気持ちの正体は一体?
嫌われるため、諦めるため、と彼女は言う。だけど、その後で彼女は、どうするというのか。
ふと彼女の言葉が、脳裏をかすめる。
「涼一さんが、助けてくれませんか?」
彼女は、確かにそう言った。今日、同じこの日に間違いなく言った。そう求めたはずの彼女が、今は助けを拒もうとしている。その姿はとても頑なで、同情を煽るためとは思えない。
彼女の気持ちも、大きく揺らいでいる。内心は心細くて堪らないのに、必死に隠そうとしていた。そう、感じさせる。
もう、心の闇を一時の快楽で誤魔化すことは、できないはず。それをすれば、彼女は真の破滅へと突き進むことになるから。
やっぱり――
「つっちー、少し外に出よう」
「でも……」
「いいから、さあ」
車を降りると、松川土埜の手を引き、俺は林の中へ足を進めた。
結論は、まだ出ていない。どうしていいのかなんて、わからない。
それでも俺は松川土埜を、ほってはおけなかった。