この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
そこから先は多分に、気持ちの領分が含まれていく。だからこそ、俺はまだ言葉を続けられなかった。
「!」
考え事をしながら、脱衣場で服を着て髪を乾かしていた時に、予告もなくドアが開いた。
「ちっ……なんで、いんの?」
顔を覗かせて不愉快そうに舌打ちをしたのは、妹の瑞月である。
「なんでって言われても……」
存在しただけで、こんなにも露骨に嫌な顔をされなければならないとは、なんとも理不尽だ。年頃の娘に嫌われた世の中のお父さんの気持ちが、ほんの少しだけ理解できた気がする。
ともかく、ドアを閉ざそうとする瑞月を慌てて呼び止めた。
「俺なら、もう上がったから」
「はあ?」
「だから、その……風呂に入るなら、どうぞって」
「……」
瑞月が踵を返し、脱衣場に入ってくる。そのまま俺の方につかつかと歩み寄った。そして徐に、じっと顔を見つめてくる。
「なんだよ?」
「別に」