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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
それを指で拭いながら、少し躊躇った後で言った。
「……わかっているのか? 俺は瑞月に、キスをすることだってできるんだぜ」
「な、なんで……そんなこと……?」
「そういう可能性だって、あったって話だ。親の都合で、俺たちの可能性が消されるのを、黙って――」
そこまで言いかけ、俺は言葉を濁した。
「たとえが適切じゃなかったな。とにかく――」
「今でも、〝ある〟よ」
「瑞月?」
「〝あった〟ではなくて〝ある〟。だから可能性は、失われてなんかいない」
驚いて見つめた先で、瑞月は顔を上げ涙に濡れた瞳を、真っ直ぐに向けた。
「してみたら――キス」
「な、なに……?」
「キスしてよ。そしたら、この家から出て行っても、いいから」
予想外の言葉を受け、その後――。
「……」
「……」
無言で見つめ合うこと、数秒。
そして俺は、瑞月の唇に自分の唇を重ねた。
興奮を高め、吐息を混ぜながら、俺と瑞月は次第に深く、キスをしていた――。