この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
◇ ◇
あの日から、既に四年以上の月日が流れている。
俺も瑞月も、大人の世界に足を踏み入れたころ。少なくともあのころのように、分別が揺らぐような歳ではないはず。
「瑞月には、悪かったと思ってる。あの時、どうしようもない感情を、あんな形で向けてしまったこと。すまない……瑞月はなにも悪くないのに」
「い、今さら……」
「ああ、遅すぎる。だからこそ、こうして話せた今からでも、わかってほしいと思う。あの息が詰まるような家の中で、瑞月だけは――俺のたった一人の家族、妹だと――」
その時、瑞月は身体をわなわなと震わせていた。そして――
「だったら……可能性……は?」
「瑞月……」
「自分で開いておいて、今さら……」
「開いた……?」
「ああっ! もう、いいっ!」
きっと俺を睨みつけて言い放ち、瑞月はそのまま駆け出そうとした。
「待て――!」
咄嗟にその手を掴んだ。そのまま足を止め、瑞月は振り向かずに、打って変わり穏やかな口調で言う。
「みんなの前だから、今日みたいなみっともない真似は、やめる」
「瑞月……」
「でも、やっぱり。お兄……涼一のことは、許せないから」
そう告げて、瑞月は俺の手を振り解いた。
残された俺は、「お兄ちゃん」から「涼一」に言い換えられたわけを、一人想う。