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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に


     ◇     ◇

 あの日から、既に四年以上の月日が流れている。

 俺も瑞月も、大人の世界に足を踏み入れたころ。少なくともあのころのように、分別が揺らぐような歳ではないはず。

「瑞月には、悪かったと思ってる。あの時、どうしようもない感情を、あんな形で向けてしまったこと。すまない……瑞月はなにも悪くないのに」

「い、今さら……」

「ああ、遅すぎる。だからこそ、こうして話せた今からでも、わかってほしいと思う。あの息が詰まるような家の中で、瑞月だけは――俺のたった一人の家族、妹だと――」

 その時、瑞月は身体をわなわなと震わせていた。そして――

「だったら……可能性……は?」

「瑞月……」

「自分で開いておいて、今さら……」

「開いた……?」

「ああっ! もう、いいっ!」

 きっと俺を睨みつけて言い放ち、瑞月はそのまま駆け出そうとした。

「待て――!」

 咄嗟にその手を掴んだ。そのまま足を止め、瑞月は振り向かずに、打って変わり穏やかな口調で言う。

「みんなの前だから、今日みたいなみっともない真似は、やめる」

「瑞月……」

「でも、やっぱり。お兄……涼一のことは、許せないから」

 そう告げて、瑞月は俺の手を振り解いた。

 残された俺は、「お兄ちゃん」から「涼一」に言い換えられたわけを、一人想う。

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