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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


 仮に今日、松川土埜とのデートにおいて、俺が前回のように彼女を抱いて帰ってきたのならば。

「……ま、いいんじゃないの?」

 さっきの瑞月の反応も、また違うものになっていたのではないか。一方で俺としても、だらだらとした肉体関係を継続していたのなら、平常心ではいられなかっただろう。

 例の夕陽を眺めた後、俺とつっちーは夕食を食べて別荘に帰ってきていた。時刻は午後の八時過ぎ。前回のように、ラブホテルに行くような展開にはならなかった。

「完全に、ゼロではないけども……」

 再び小声で呟いたのは、後ろめたさを完全には否定できないせいか。

 キスは二度している。が、身体の問題なら今更という感じも否めない。だからこそ、今回はどちらかといえば心の部分でのこと。自分の気持ちが微妙に揺れ動いていることを、自覚しないわけにはいかった。 

 だからといって、どうしていいのかもわからないけども……。

「?」

 風呂場から地下の書斎に戻ろうとした時、リビングから聴こえた話し声に足を止める。

「ところで、文水さんとしては、どーゆーお気持ちですか?」

「はあ? どーゆー意味で?」

「またまたぁ。わかってるくせに」

「わかんないよ。特に夏輝ちゃんの言うことは意味不。話が通じる気がしないもん」

 リビングのソファーで飲み物を口にしながら会話するのは、高坂文水と夏輝木葉だ。

「ええっ? なんだか、ひどくないですかぁ?」

「実際、得体が知れないもの。その可愛らしい笑顔の裏に、一体なにを隠してるわけ?」

「ええ、かわいーですかぁ? ありがとうございまーす!」

「誉めてないけど」

「ええ、またまたぁ」

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