この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
仮に今日、松川土埜とのデートにおいて、俺が前回のように彼女を抱いて帰ってきたのならば。
「……ま、いいんじゃないの?」
さっきの瑞月の反応も、また違うものになっていたのではないか。一方で俺としても、だらだらとした肉体関係を継続していたのなら、平常心ではいられなかっただろう。
例の夕陽を眺めた後、俺とつっちーは夕食を食べて別荘に帰ってきていた。時刻は午後の八時過ぎ。前回のように、ラブホテルに行くような展開にはならなかった。
「完全に、ゼロではないけども……」
再び小声で呟いたのは、後ろめたさを完全には否定できないせいか。
キスは二度している。が、身体の問題なら今更という感じも否めない。だからこそ、今回はどちらかといえば心の部分でのこと。自分の気持ちが微妙に揺れ動いていることを、自覚しないわけにはいかった。
だからといって、どうしていいのかもわからないけども……。
「?」
風呂場から地下の書斎に戻ろうとした時、リビングから聴こえた話し声に足を止める。
「ところで、文水さんとしては、どーゆーお気持ちですか?」
「はあ? どーゆー意味で?」
「またまたぁ。わかってるくせに」
「わかんないよ。特に夏輝ちゃんの言うことは意味不。話が通じる気がしないもん」
リビングのソファーで飲み物を口にしながら会話するのは、高坂文水と夏輝木葉だ。
「ええっ? なんだか、ひどくないですかぁ?」
「実際、得体が知れないもの。その可愛らしい笑顔の裏に、一体なにを隠してるわけ?」
「ええ、かわいーですかぁ? ありがとうございまーす!」
「誉めてないけど」
「ええ、またまたぁ」