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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


 すっかり顔を出すタイミングを逃し、俺は階段の下に身を潜めてしまう。立ち聞きのようでイメージが悪いけど、瑞月のいる浴室に戻るわけにもいかない。

「だから、そういう態度も。なんだか、少しサイコパスなの。気に障ったのなら、ゴメンだけど」

「いえいえ、気にしてませーん。寧ろぉ、流石は文水さんって感じ? 瑞月やつっちーとは見る目が違いますねー。やっぱ、年の功かなぁ?」

「かまわないけど。そういう挑発には乗らないよ、私。大体、年の話なんてくだらないじゃん。あなたたちより二コ上。それ以上でも以下でもない。それだけの話でしょう」

 なにを言い合っているのか、途中からなのでよくわからない。だけど、微妙にピリピリとしたものを感じさせる。特に――

「ところで、話は変わりますけど。文水さんって、お料理上手じゃないですかぁ。でも、私だって作るんですよ。たまにカレーとか」

「だから、なんなの?」

「私はドロドロに煮込むのが好きなんです。豚肉もジャガイモも人参もタマネギも、わからなくなるくらいにドロドロに」

 いつもの陽気な話し口調ながら、夏輝さんが妙に突っかかってるのが気にかかった。

「つまり、なにを言いたいわけ?」

「ですからぁ。豚肉(つっちー)もジャガイモ(みずき)も人参(あやみさん)もタマネギ(わたし)も、そこにカレールー(おにいさん)を加えて、すべてをドロドロにするんですよぉ。どうですかー。とっても、美味しそうでしょう?」

「やっぱり、サイコパス」

 高坂さんは呆れ加減に言うと、マグカップを手に階段を上がろうとしている。

 その背後から、また夏輝さんが問いかけていった。

「じゃあ、ここからが本題です」

「なぁに?」

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