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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
面倒そうに応じた高坂さんに、夏輝さんはこんなことを言う。
「つっちーのこと、気になりません?」
「まあ、気にしてたけどさ。意外と大丈夫なんじゃない? 帰ってきてから、なんだか吹っ切れたような顔してたし。少しは安心かな」
「フフフ、文水さんはお優しいですねー」
「それは、どーも」
「でもでも――私が聞いてるのは、そーゆー意味ではありません」
「はあ……なら、どーゆー意味なの?」
「では、質問の切り口を変えます。つっちーは、どうして吹っ切れたように見えたのでしょうか?」
「ああ、ホントめんどくさ。それは、つまり――」
「つまり?」
「今日のデートで、なにかが――」
高坂さんは言葉を止め、そのまま少し間を置いた後で、再びため息をつく。
「ああ、もう……」
「どうしました?」
「正直、気になってるよ。夏輝ちゃんの言うように、その意味でも――ね」
意味深な会話を終えて二人が二階へ上がった後、俺はそそくさと書斎へと戻っていく。そして、ベッドに寝転ぶと無言で天井を見つめた。
「……」
明日のデート相手は――高坂文水。