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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
コーヒーを煎れて地下室に戻った。小説を少しでも進めようかと思ったけど、なかなかその気にはなれない。あの四人がいる内は、たぶん無理なのかもしれない。
俺はどうしてこんなにも、彼女たちと関わり合ってしまったのか。
「!」
小気味のいいノック音が響いたのは、午前九時を回ったころだった。
「誰?」
ドアに向かって、そう呼びかけた。昨日、似たようなシチュエーションで起こしにきたのは夏輝木葉だったが。
「ああ、ごめーん。そろそろ、起きてるかなって」
ドアを閉ざしたまま返ってきた声は、高坂文水のものだった。
「ああ、起きてるよ」
「ねえ、少し入ってもいい?」
「えっと……まあ、どうぞ」
高坂文水が入室し、ベッドに腰かけた俺の前に立つ。
「フフ、いま起きたばかり?」
「いや、そうでもない。まだ、みんな起きてなかったみたいだから」
「そっか……」
高坂さんはため息交じりに言うと、所在なげに室内を見渡す。
「どうか、した?」
「ううん、別に……ねえ、コレなに?」
彼女が興味を示したのは、ベッドの脇に引き寄せたワゴンの上に置いてあったもの。
「ああ、コレはね。こうやって開くと――」