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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
高坂文水の態度が、この別荘に来たばかりの頃と微妙に違っていことが気になってしまう。他の三人がショッピングに行き、バイト終わりの俺とこの部屋で二人きりになった、あの時は。
彼女は今よりもずっとダイレクトに、俺に迫っていたはず。その後でも、車の中でキスをしてきたり、なにかと惑わせるような意図を感じさせていた。
でもここ数日は、寧ろ少し引いているようにも感じる。距離を取られているとか、そこまでは思わないにしても。周囲に気を使う性格なのは、なんとなく伺えるが、そのせいもあるのだろうか。
ともかく彼女の心境の変化が、俺は気になっていた。
「じゃあ、ぼちぼち出かける?」
「うん、そうだね」
支度を済ませ別荘を出たのは、それから三十分後。この日の天気は昨日とは打って変わり、どんよりとした曇り空だ。
これからデートに赴く二人を、見送る者は皆無。瑞月もつっちーも夏輝さんも、顔を見せることはなかった。その点でも、昨日とは微妙に雰囲気が異なっている。
スマホで天気予報を確認した高坂さんが、ワゴン車の助手席に乗り込みながら、ぽつりと言った。
「なんだか、降りそう」
こうしてデート二日目は、静かに幕を開ける。