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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


 岸本瑞月に言われるまま、こんなところに来ているのは半分は自棄だったのかもしれない。自分とはかけ離れた世界にいる彼女の目には、私なんて、どんなに下品でみすぼらしい存在なのだろう。

 お色気要員としての任務を与えられ、金銭を受け取る。依頼を受けたことによって、その立場の差は更に明確なものになっていて、正しくこの世の縮図だ。

 もちろん、プライドを盾に「バカにしないで」と、はねつける選択支もあった。寧ろその方が、簡単だ。だけど、そうしなかったのは心の中に迷いがあるからだろう。

 大学に行く意味を、見つめ直さなければならない。元々は自分のためにと、稼いだ学費ではなかったから……。

 いろいろ考える前に、適当な気分転換になるのかもしれない。結局はそうして岸本瑞月に同行すると、私はここまでやって来ていた。

 風俗にいた過去を弱みにしないなんて思いながら、それにより向けられる異性からの好奇な視線にも、同姓からの蔑んだ視線にも、人一倍敏感なってしまっている。とりあえず、そんな自分の弱さと向き合っていかなければ……だけど。

 結論を導けそうにないことを漠然と考えリビングのソファーでだらだらしていたら、いつの間にか自然と眠ってしまっていた。そんなわけで帰ってきた彼とのプチなアクシデントは、狙ってやったことではない。

「ちょ、ちょっと! 痛ぁい!」

「えっ!?」

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