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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


 急に図書館に赴き、そこで読書をするのだと彼女は言う。とてもデートとは思えない展開を不思議に思いながらも、高坂文水に言われるまま適当な本を見繕った。

 選んだのは世界的にも著名な作家の短編集。無難なチョイスではあるけど、収録された各々の話は短めであるしテーマも難解ではないので、普段あまり読書をしない人でも読みやすいはず。

 ちらほらと学生の姿のある学習室の片隅に席を求めた。高坂さんと肩を並べて座りながら、ふと自分が手持ちぶさたであることに気がつく。

「じゃあ、俺もなにか読もうか――」

 自分の読み物を選びに席を立とうとすると、高坂さんにシャツの裾を掴まれていた。

「待って」

「?」

「管理人さんは読むよりも、こっち――でしょう?」

 高坂さんは自分のバッグから取り出したものを、俺の前へ差し出した。

「あれ? これって……」

「ふふ、ごめんね。私って、手癖が悪いの。勝手に持ってきちゃった」

 悪戯っぽい笑みを浮かべながら彼女が差し出したものは、折り畳み式の電子メモ。出かける前、書斎で興味を示した彼女に、一応これの用途を説明してあったわけだけど。

「どうして?」

「ホラ、書けてないんじゃないかなって。特に、この数日は」

「まあ、それは確かに。だけど――」

「悪いなあ、迷惑だろうなって、内心では思ってたの。なのに結局は私まで、こうしてつき合わせちゃってるわけでさぁ。きっと管理人さんには、大事な一日なんだよね……」

「別に、それは高坂さんのせいじゃないし」

「ありがとう。でも、気にしちゃう性格だから。せめて今だけでも、気の済むまで書いて欲しいの。そうじゃないと、この一日を私自身が楽しめないから」

「高坂さん……」

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