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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情

高坂さんの手にした本は、丁度半分くらいのページが開かれている。普段は読書をしないと言ってた割に、なかなかの早さだった。
「いいよー。気の済むまでやりなって」
「うん。ありがとう」
恐らくはこちらを気遣って、会話もそこそこに本の世界に戻ろうとする彼女。俺はそんな高坂さんに、あえてこんな風に言う。
「あのさ、もう少し話さない」
「なにを?」
「いや、なにをというわけではなく。その、単に雑談というかさ」
「ああ、つまり気分転換ね。じゃあ、どうぞ」
「改めて、どうぞって言われると、話しづらいなあ……」
「アハハ。管理人さんは、そんな感じかも。だけど、そっちから言い出したんだから、話題くらいふってくれないとねー」
「わかってる。ちょっと待って……えっと、なんの話にしよう?」
「呆れた。じゃあ、いいよ。私のことでも聞いてくれれば」
「高坂さんのこと?」
「うん。今なら特別に、なんでも答えてあげるから」
なんでもって言われると、これまた迷ってしまいそうだ。でも、高坂文水については、俺自身少なからず興味を抱いているはず。

