この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情

手始めに口をついていたのは、こんな質問だった。
「じゃあ、とりあえず。好きな男のタイプとかは?」
「男のタイプかぁ。そう聞かれると、あまり自分でもピンとこないけどもぉ――あ、そうそう。私さぁ、高校に入学したての頃、同じクラスの男子に人生で初の一目惚れをしたの。その相手、どんな人だったと思う?」
「うーん、そうだなぁ……スポーツ万能の爽やかイケメン? いや、違うな。どっちかっていうとお洒落であか抜けた雰囲気の、いわゆるストリート系? で、ダンスとか音楽とかやってたりして――」
考えながら、しどろもどろに答えるのだけど、自分の中でもイメージは曖昧。よって当然ながら、と言うべきか。
「ブブッー! 全っ然、ハズレでーす」
「ハハ、だろうね。じゃあ、どんな人?」
「もう降参? 仕方ないなぁ」
彼女は頬杖をつくと自然と懐かしそうな顔に変わり、そして語った。
「私が好きになったのはねぇ。超堅物で生真面目な、クラスの委員長さん」
「へえ」
「なんか、意外?」
「まあ、そうかな」
「私ってさぁ、その頃から派手に見られがちだけど、結構そっち側てゆーか。外見よりも、しっかりと自分を持ってる人に惹かれたんだろうね」
「自分を持っている人……か」
俺はどうなんだろう。ふと自問していた。

