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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
そうこうしてる内に高校二年も終わろうという頃になった。女子高生でいられる時間が短くなると共に、私はそれまで敢えて目を背けていた部分と、向き合う必要に迫られていた。それは端的にいうのなら、家庭の事情というやつだ。
「高校生でいる内は好きにさせて。その後のことはちゃんと自分で考えるから。もちろん、理樹のことも含めてね」
高校に入った頃、私が母に言った言葉だ。理樹《さとき》とは二つ年下の弟のこと。私たちには父親という存在がいなくなって久しかったし、母親は夜の仕事が長かったせいなのか、あまり私たちのことを気にかけなくなった。
時折、新しい男ができた時などは、妙に機嫌がよくなったりするけど、基本的には生活に必要なお金を稼ぐ以外で、私たち姉弟の面倒をみる気持ちは、ほぼ皆無だったように思う。それでも高校までの学費を賄ってもらえただけで、ありがたかった。私はいつしか少し冷めて、そんな風に感じていたくらいで。
この頃には既に、母に対して可哀そうな人だと、そんな気持ちさえ芽生えていた。父との離婚の理由を、母は「嫌になったから別れただけよ」なんて言っていたけど、私はそれが強がりなのだと知っていたのだ。