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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


 私が一五になった頃のこと。突然メッセージアプリで繋がったのは、十年近く顔を合わせてない父だった。会いたいといわれ一度だけ顔を合わせたのは、自分の父親というのがどんな男か知っておきたかったから。母からは一切詳しい話は、聞かされていなかった。

 当然、母には内緒で会った。理樹にも。そうして相手に対する、私の抱いた率直な感想は「クズ」という取り留めのないものになる。年の割にチャラチャラとしただけの、実に軽薄な男だった。

「しかし、綺麗になったなぁ。学校でモテモテだろ、文水」

「全然……」

「そんなわけないだろ。モデルとかタレントとか、そっち方面でもいけるんじゃないか?」

「別に、興味ないし……」

「それは、勿体ない。スタイルだって申し分――」

「……」

 私が胸元を腕で隠すようにして、じっと睨むと。

「あ、はは……いや、ジロジロ見て悪かったな。別に、そういうつもりで見たわけではないが」

 そういうって、どういう?

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