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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
管理人さんには「エッチなお店」なんて言ったけど、実際は店舗型の風俗店ではなくって私が所属したのは、いわゆるデリバリーヘルスというやつ。すなわち、男の人の性的な欲望を満たすために、どこへなりとお届けされていくのだ。
仕事に慣れるまでは当然だけど大変だった。外見的にすれて見られがちだけど、当時の私の男性経験といったら只の一人きり。高校の時につき合って浮気されて別れた、あの彼だけなのである。そんなわけで男の人へのサービスに徹すること自体かなり不慣れであったし、実際始めた当初は精神的にもかなりきつかった。
それでも稼ぎという部分では、やはり普通のバイトとは比べものにならない。仕事をはじめてから一ヶ月ほどしてリピーターのお客さんがつきはじめると、私の手取りはみるみる内に膨らんでいくのだった。
これなら二年あれば、理樹を大学に入れることができる。明確に目標達成のラインが見えたことで、迷いは消えていた。元々、覚悟はしていたのだから。どんなに辛くても、我慢すれば全てはいい方向に向かうはずだと信じて。
そして、これは不幸中の幸いというべきか。私は比較的、お客さんに恵まれたのかもしれない。一見さばさばした性格が、いわゆる〝おじさん〟と呼ばれる人たちには気に入られたみたい。そういった年代の指名客が増えていった。
若いお客より気が楽だったのは、第一にガツガツしてない点。サービスを何度も繰り返し求めることもないし、変に口説いたりもしてこない。おじさんの顔見知りのお客さんが増えたことで、私は次第に仕事のストレスを軽減できたのだった。