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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
だけど、違和感には常に苛まれていた。性的なサービスに慣れていく自分自身に対して、とても激しく。ふと自らの内側を覗いた時に、心がギザギザに抉られていたらどうしよう。そんな風に考えると怖くなるので、私は次第に深く考えるのを止めた。ともかく、この数年を乗り切って、理樹を大学に行かせられたら、それで。
そうして私はまた、自分という存在《もの》を見失っていくのだった。
風俗の仕事をはじめてから一年と数ヶ月が過ぎた頃だ。必要なお金が貯まる目処がついたところで、一度きちんと理樹の意志を確認しておこうと思い、久しぶりに姉弟で顔を合わせることにした。
理樹は私の期待を裏切ることなく勉強に励み、成績も以前から志望していた大学に合格できるだけの水準を維持しているとのこと。
「できれば奨学金を受け取ってさ。大学に入った後もバイトしながら生活費を稼げたらって、一応は思うんだけどね……」
それがどんなに難しいことなのかは、理樹の不安そうな口調が表していた。私は理樹には今も大学に行ってからも、好きな勉強を思う存分して欲しかった。だから、胸を張って言う。
「心配ないよ。姉ちゃんに任せろって言ったじゃん」
「でも……」
「いいから。理樹は今の調子で勉強してればいいの。余計なことは気にしないで」
「うん……」