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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
「やっぱ、早いね」
「え?」
「ほら、新幹線だとさぁ」
俺たちがいる場所は、到着した駅に隣接したショッピングモールの中にあるフードコート。そこで買い求めたロイヤルミルクティーのカップを手に、高坂さんはテーブルの上に突っ伏すと、顔を横に向けぼんやりと隣の俺の顔を仰いできた。
「そ、そうだね」
やや気怠そうな彼女の仕草と視線、そしてタンクトップから露出した肩周りの生肌に思わずドキリとしながら、俺は何気に視線を逸らすと平静を装うように答えた。
「東京まででも、一時間足らずだし」
「ホント、そう考えると近いな。おかげで話す暇もなかったし、さ」
「あ、うん……」
高坂さんが、これから会おうとする人物が何者なのか。またその人物との因縁(?)が生じた背景とはどの様なものか。俺はまだそれらを、彼女の口から聞かされてはいない。