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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


「その……相手との待ち合わせは?」

「とりあえず向こうからの連絡待ち、みたいな感じ」

 そう言って、彼女は傍らに置いてあるスマホの画面を物憂げに見つめた。

「ごめんね……わけのわからないことに、つき合わせちゃって」

「だから、それはもういいって。それよりも――」

「うん、そうだね」

 高坂さんはそう返事をして一度こちらから視線を外すと、今度はテーブルの上で完全に顔を伏せてから、こう続けた。

「今の内に、話しておかなくちゃ……ね?」

「……」

 魅力的な染髪を見つめながら、俺は高坂さんの口が実に重たそうだと感じている。それでも「無理に話さなくてもいいけど」「ううん、違うの。ホントは聞いてほしいんだ」という旨のやり取りを繰り返すのも、ここに至っては不毛だろうと思った。

 俺はじっと彼女が話し出すのを待った。すると、程なくして。

「管理人さんは、子供の頃って幸せだった?」

「えっ、子供のころ……?」

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