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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
「――と、まあ。その男との因縁は、そんな感じ」
高坂文水の話を一通り聞き終え、俺の中に芽生えた感情は複雑であったけど、それを代表するものといったら、やはり怒りだったと思う。
「その人と、これから?」
「そ、会って文句を言ってやるの」
「……」
「なんで今更って思う?」
「いや……でも」
「文句を言って、どうなるのかって? 正直、自分でも、よくわかんないんだ。でもさ、そうしないと前に進めない気がしたの。今日、管理人さんと一緒にいて、そんな気持ちが芽生えたんだ」
「俺といて?」
「うん、そうだよ」
「……」
俺のなにが作用して、彼女がその様に思い立ったのか、その理由はまるで見当がつかない。でも、今はそれよりも、純粋に高坂さんのことが心配だ。これから会う男が、彼女の言う通りの人物であるならば尚更に。
「ねえ、高坂さん」
「なぁに?」
「高坂さんが前向きになれるなら、それはいいことだし応援だってしたいんだけどさ」
「うん、ありがと」
「でも、相手の反応によっては、寧ろ逆というか。話を聞いた限りでは、その人って……」