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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


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 木村と私は同学年だけど、普通に学校で知り合ったわけではない。同じ学校に通った時期は、確か一度もなかったはずだ。

 私たち兄弟が住んでいた賃貸の部屋は、木村の父親の所有する建物の二階にあった。つまり大家ということなのだけど、単にそれだけには留まらなかった。

 同じ建物一階にはコンビニや喫茶店、あと不動産関係の事務所なんかが入っていた。後で知ったことだけど、その不動産屋を経営していたのが木村の父親。古くからの大地主の家系であるらしく、他にも多くの土地や建物を所有していた。すなわち近隣の地域では、かなり顔の効く存在だったようだ。

 そんなことを鼻にかけた部分も、明らかにあったと思う。木村とはじめて顔を会わせたのは、私が小五の頃。買い物をしようと弟の理樹を連れ、アパート脇の階段を下りていた時、不意に声をかけられた。

「へえ、お前ら、ここに住んでんの?」

「?」

 急なことで戸惑っている私たちに、その男子は尚もこんな風に言った。

「何号室? 親も一緒か? フツーに狭くね?」

 私は、相手をきっと睨みつけた。

「どうして、そんな風に言うの?」

「ああ、なんつーか。この建物ウチの親父のなんだけどさぁ」

「だったら、どうなのって思うけど」

「はあ? まあ別に、どーでもいーけど」

 それからも木村は、私たち姉弟の干渉してくるようになる。特に理樹の方には、なにかとちょっかいを出していたようだ。

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