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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
ある時、部屋に帰ると携帯ゲーム機で遊んでる理樹の姿があった。当然、当時の私たちで買えるような代物ではない。私が問い詰めると、理樹は「木村くんがくれたんだ」とバツが悪そうに答えた。
「すぐに返しにいくよ」
私は理樹を連れて、木村がよく遊んでいるという公園に向かう。その日も木村は、近所の男子たちと公園の東屋でたむろしていた。
父親が地域の権力者という影響も、少なからずあったのだろう。仲間たちは一様に木村の顔色を窺っていて、まるで取り巻きのようなイメージだった。
「コレ、返す」
私は木村たちの前に立つと、そう言ってゲーム機を突き返そうとする。そんな私を珍しいものでも眺めるようにして、木村は言った。
「は? なんで?」
「貰う理由がないもん」
すると木村は仲間たちと顔を見合わせ、ヘラヘラと笑いながら、こう続けた。
「だってお前んち、貧乏じゃん?」
「ッ……!」
思わず唇を噛む。そんな私のことを気にもかけず、木村は続けた。
「お前の弟が物欲しそうな顔するから、くれてやったわけ。有り難く貰っとけばいいじゃん。それ持ってねーと、一緒に遊べねーんだし」
「バ……バカにしないで!」
「は? なんで、この女おこってんの? イミフなんだけど。これってフツー、お礼言われる場面だろ、なあ?」
木村が同意を求めると、その仲間たちも口々に私のことを罵ってきた。