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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第2章 コーヒーはブラックで


 想定を上にも下にもはみ出さないインスタントの味で酔いを迎え撃ちながら、ようやく頭の片隅にこびりつく面倒な部分と向き合おうとした。

 あれは……夢では、ないよな。間違いなく、現実。

 昨夜、俺はこのベッドで〝誰か〟を抱いた。それは感触として、脳裏にも素肌にも生々しく刻まれている。快感が頂点に達した後に、気を失うように寝てしまったようだが……。

 裸だったはずの身体には、パンツとTシャツが着せられている。ベッドも乱れた様子はなく、その他、女がいたような痕跡は残されてなかった。ベッド脇にある屑箱の中を覗き見たが、昨日片付けたままゴミはひとつも入っていない。

 こうなると、何点か考えるべき要素が増える。相手が誰だったのか、という疑問は当然としても。相手の行動が衝動的だったのか、否か? 仮に計画的であるのなら、なんのために? それらも、もちろん気にはなったが……。

 そういったミステリー的な要素を押し退け、俺を次第に不安にさせるのは、昨夜の行為がダイレクトに――すなわち、避妊をしないまま行われているという点。あの生々しい感触は、否応なくそれを俺に教えていた。

「と、とにかく――」

 不安な気持ちを振り払うように、視線を上げて階段の上の扉を見つめた。とにかく、このまま地下にこもっているわけにはいかない。俺はマグカップを置き、ベッドから立ち上がった。

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