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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
そんなことは、中学生時代にもあった。
「お、理樹の姉ちゃんじゃん?」
「……なに?」
「いや、よかったなって思ってさぁ」
「?」
「だってお前って、いつもみすぼらしい恰好してたじゃん。服買う金がないんだろ? 中学だと制服があるから、少しはましに見えるもんなぁ」
「か……関係ないでしょ」
そして、高校に入ったばかりの頃も。
「おーい、文水ぃ!」
「ちょ、ちょっと……アンタから、呼び捨てにされる覚えないんだけど」
「いいじゃんか。それより、たまにはつき合えよ。映画でも観ようぜ」
「は? なんで」
「なんかお前、結構いい女になったつーか。エロくなったつーかさぁ」
「……」
木村はいつでもジロジロとこちらを見つめて言いたいことを口にし、こちらの気分を不快にさせるのだった。
でも、そんな私の気持ちに反するように。
「そんなに悪い人じゃないと思うけどな」
弟の理樹は、そんな風に言うのだった。
「どうして? 貧乏だとか言って、完全に見下されてるんだよ」
「うーん……確かに、そういうとこもあるけどさ。本人に悪気はないんじゃないかな」