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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
私は、言われるがまま部屋の中へ。この時点では、そうするしかなかった。本当に私だとわかった上で指名してきたのなら、看過できないから。
「誰から聞いたの?」
この仕事のことは、一番親しい女友達にだって言ってない。顔を合わせて話をすれば、いろいろ聞かれることだってあるだろうから、この一年以上、私は友達からの誘いをずっと断り続けていた。
その結果として、相手が気を悪くして、疎遠になってしまうかもしれない。それでも風俗で働くことを、誰かに知られるわけにはいかなかった。
あと半年、この仕事を続ければ、なんとか弟(さとき)を大学に行かせる目途が立つ。それまでは、他のあらゆることを我慢をしようと決めていたのだ。
それなのに、ここ最近は顔さえ会わせたことのない木村が、どうして私の仕事を?
「ヘヘ、誰だっけなぁ」
こちらの気持ちを知ってか知らずか、木村は惚けたように笑った。
「まあ、口が軽い奴はどこにでもいるって。そこんとこいくと、俺は堅い方だと思うけどなぁ。その意味では、そんなに心配しなくてもいーんじゃねーの?」
まったく信用できない言葉を口にする木村の顔を、私は訝しく見つめた。
「なんだよ、不服そうな顔しやがって。まあ、いいけどな。じゃあ、そろそろはじめてくんない」
「え?」