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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


「ハハッ! 当然、しゃべられたくねーよなー」

「だ、だって……それは……」

「なあ? どーなんだよ、そこんとこ」

「だから、そんなの――」

 言わなくたって、わかっているのだ。それは、私も木村も。それなのに木村は、すべてをわかった上で更に私を攻めた。

「ハッキリしてくんねーか! ああっ? しゃべってもいーのかよ!」

 口元に薄く笑みを浮かべたまま、木村は徐々に語気を荒げていく。

 木村が『誰に』という部分を敢えて口しないところが、なんとも気持ち悪かった。そんなところにも、この男の本質がよく表れている。木村が口にしない以上、こちらから口にすることもできない。

 じわじわと精神的に追い詰められた、その結果――。

「さあ、どうする? 俺は別に、どっちでもいーけどな」

「い……言わないで」

「あ? よく聞こえねーよ」

「言わないで! ……お願い」

 私は惨めにも、屈服してしまうのだった。

「ハハハ、オッケーオッケー! そうと決まればグズグズしないでサービスの方、よろしくー。俺はお前とわかった上で、こーして会いに来てんだからさぁ。たっぷりと頼むぜ」

「では……先にシャワーを」

 観念した私は、難しい思考を一旦停止。いつもしてることを、いつものようにするだけだと割り切り、相手が誰であるとか、その部分の意識を消そうと努めるのだった。

 シャワーで、相手の身体を流し。

「お湯加減は、熱くありませんか?」

「ああ、丁度いいぜ」

「では、失礼します」

「へへ、やっぱ興奮するよなぁ。洗われただけで、こんなにビンビンになっちまってさ」

「……」

「おおっ……そこ、もっと入念にな」

「……はい」

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