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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
木村はそれからも度々、私を指名してくるようになった。嫌な男と顔を合わせ性的なサービスをすることは、当たり前だけど苦痛だった。この上もなく……。
他の店に移ろうかと何度も考えたけど、結局そうできなかったのは怖かったから。そう、私は怯えていたのだ。
誰にも知られたくなかったのは、たった一人に知られたくないため。木村はそんな私の気持ちを見透かした上で、まるで甚振るように私への指名を繰り返しているようにさえ思えた。
きっと、そうだろうな。そう気づきながらも、心をすり減らすことしかできない自分。一体、なにを想って、そんな日々に絶えてきたのだろう。
「なあ、もう何度目だっけ?」
「さあ……?」
「なんかさぁ。俺たち、もう、つき合ってるみたいじゃね?」
「……バカなこと言わないで。私は仕事で来てるだけだから」
「ハハハ、わかってるって。今の文水は、すっかり人気のデリヘル孃だし――なあ?」
「……」
「ホント、まさかだよ。あの気が強そうで小生意気だった小学生の女子が、今では裸になって男の前に傅きやがってよぉ。あんなことも、こんなこともするんだもんなぁ。なぁんか感慨深いつーか」
木村はいつものようにベラベラと、こちらの心を痛めつけた後で、急に思いついたようにこんな風に言った。