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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
「あ、そうそう。そろそろ、やらせてくんない?」
「え?」
「だからぁ、いつもみたいに口とか手じゃなくてぇ、本番の方をヨロシクって言ってんの」
「そ……それは絶対に、ダメ」
デリヘルをしてる子で、個人的に追加料金を取りいわゆる本番行為をしている子もいるとは聞いている。でも、もちろんそれはルール違反。私は気心の知れた常連さん相手でも、一度もしたことはなかった。
「じゃあ、これで最後にすっからさぁ。それなら、どう?」
「最後……?」
「ああ、そうだよ。文水がその方がいいって言うなら、今後はもう二度と指名しないからさぁ。それなら、どうよ?」
「……」
「へへ……なあ、どうする?」
その言葉を素直に信じてはいけないことぐらい、私だって十分に承知していたつもりだ。そしてルールを破ること以上に、大きな抵抗を感じずにはいられなかった。
こんな仕事をしていながら、この時点での私の男性経験といったら、たったの一人だけ。高校時代につき合った、はじめての彼だけだった。そして目の前でそれを迫る男は、これまでの人生で出会った男の中で、最も毛嫌いする男。
他人から見たら裸で性的なサービスをする女がなにを、と思われてしまうだろうか。それでも私は、明確に最後の一線を越えることに大きな抵抗を覚えていた。だけど……。