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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
その後、何度説得を試みても、理樹の決意が変わることはなかった。なにより風俗で働いていたこと。それを知られてしまったことが、私自身の大きな引け目となる。
理樹に軽蔑されてしまった。きっと、もう理樹は私の言葉に耳をかさないだろう。そんな気持ちがある以上、私の方も強く説得することができなくなった。
この一年半余り、心を擦り減らしながら、私がやってきたことは一体なんだったの?
虚しさが、一気に胸の中を覆う。それでも、私はどうすることもできずにいた。理樹としっかり向き合うこともせず、木村に対して怒りをぶつけることすらできなかった。
虚しさを忘れ去ろうと、私がしたことといったら勉強だった。いろいろ考えることに疲れた私は、頭の中を高校時代の教科書や参考書で、がむしゃらに埋め尽くそうとしたのだろうか。
そうして理樹のために稼いだ学費で、私は大学に進んだ。でも、心の虚しさが消えることもなく、私は空っぽのままだった。そんな自分のことが、とても嫌い――だから。
私は今になってようやく、因縁の男の前に辿り着いたのだ。