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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
「どうも、招かれざる客であったようですから、その点では謝りますよ。だけど、それでも第三者として、木村さんがどういう人物なのか、という点については興味が沸いていました。高坂さんから話を聞いて」
「文水ぃ、ホントにこの人に全部話したのかよ?」
不服そうに高坂さんを睨む木村。それを無視して、俺は話を続けた。
「どういう人かな、と。冷静に観察したつもりなんです、俺なりに第三者として、なるべくフェアに。だけど、そうしたら――」
「そしたら、なんだよ?」
「つまり、さっきの言葉に行き着くわけです。最低だ、と」
俺が再びその言葉を口にすると、一瞬だけ木村は明らかに顔を歪めた。でも、その直後に――。
「ハハハ、だからなんだっつーわけ?」
「!」
「別にお前に最低とか思われたって、関係ねーよ。それとも被害を受けたとでも、どこかに訴えるのかよ? 一体どこに? なんの罪で?」
「だから、俺が言ってるのはそういうことではなく――」
「じゃあ、なんでだよ! ちょっと話を聞いたくらいの奴が、人のこと最低とか決めつける権利あんのか! ああ!?」
語気を荒げる木村を前にして、変かもしれないけど俺は少しホッとしたのかもしれない。少なくとも『最低』という言葉が愉快ではないのだろう。