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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
高坂文水の頬に流れた一筋の涙。だけどそれは、先程まで堪えていた彼女のやるせない想いの結晶ではない、と俺には思えた。
一方、その涙に気づくことすらなく、木村は大袈裟に両手を広げると、馬鹿らしいととばかりに大きなため息を吐いた。
「なんだよ、結局は嫉妬だったというわけ?」
その口元は嫌らしさを増して、くっと釣り上がった。
「そっかそっかぁ、単なる嫉妬ね。ちょっとだけマジになって、損したぜ。あーあ、さっきから結局なんの問答だっつーの。最低? 卑怯? いいぜ、別にー。次はなにかなぁ。まだ他にもあるわけ?」
「……」
「お前、文水のこと好きだって言ってたけど、その感じだとつき合ってはねーよなぁ。じゃあ、これから、つき合いたいと思ってる感じ? ああ、いいかもな。デリヘルにいただけあって、いいテク持ってるしなぁ!」
「……」
「なぁんだよー。もう、お話ししねーの? じゃあ、もう終わりでいいよなぁ。こっちも、嫉妬した男のグチを聞くほど暇じゃねーんだし」
そんな挑発的な言葉に、それまで黙っていた高坂さんが反応する。