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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情
「くっくっくっ……いいぜ、卑怯者ね。憶えておいてやるよ、この言葉」
「どうも」
「でもなぁ、たぶん意味なんてないぜ。俺は別に、そんなことで苦しんだり悔やんだりしねーよ」
「そうかもしれない」
「は? いいのかよ、お前はそれで」
「かまいませんよ。でも、もし本当にそうなのだとしたら――」
「?」
俺は高坂さんの手を取り席を立つと、木村に向けてこのように続けた。
「――木村さん。貴方の人生は、この先もずっとクソのままだということです」
「なにぃ……?」
笑おうが吠えようが、もう木村の反応に興味を示す意味はないだろう。
「高坂さん、もう行こう」
「うん……でも」
「もう、気にするような相手ではないことは、わかったはず。だったら、あとは高坂さん自身の問題でしょう?」
「……うん、そうだね」
俺が彼女の苦しみを雪いであげられたのか、そんなことは定かではない。でも彼女はようやく微笑み、俺を見つめ返してくれた。結局は時間が解決することなのかもしれない。だけど、今日ここに来た意味はゼロではないはずだ。
高坂文水は魅力的な女性だから、いつまでも同じところで留まっていてほしくはない、と俺は思う。自分を卑下することを止めれば、彼女もそれに気づくはず。そしたら、もっと輝けるようになる。自分を磨くことで。