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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第9章 文水の事情


「過去の自分が許せなくなる。俺自身がそうだった」

「!」

「管理人さん、そんな風に言ってたじゃない?」

「あ、うん……」

 それは聞かれて困ると感じた方の問いではなかった。とりあえず少し安堵としつつも、こっちはこっちで一言で説明できるものではない。 

「そ、それはつまり……」

「なぁに。誰か、女の子でも泣かせた?」

「!」

 俺は思わず目を見張る。

「もしかして、図星?」

「というか、どうだろう。俺が直接、なにかをしたわけじゃ……ううん、違うな。俺が自堕落な生活をしていたせいで、結果的に見ず知らずの少女を巻き込んでしまった、というか」

「少女?」

「あ、いや……俺自身、面識があるわけじゃないんだけど」

 いや、それも違うのか……。

「ふーん。なんだか複雑そうだね」

「ああ、そうなんだ……」

 俺は、そこから先の言葉を紡ぐくとができなくなった。

 この件は寧ろ、明日にこそ語られるべき――?

「管理人さん?」

「いやっ……つまり高校時代の俺が、最低だったってことで」

「へえ。じゃあ、私と一緒かぁ。あ、でも私の場合、卒業してからの方が酷いけど」

「こ、高坂さん! だから、そんな風に自分を卑下するのはよくないって!」

「あはは、叱られちゃった」

「茶化さないで。こっちは、これでも真面目に――」

「うん、わかってる。もっと叱って」

「えっと……?」

「なーんだ。もう、叱ってくれないの?」

 楽しそうな顔して、そんな風に言われても、俺としては困惑するばかりだ。

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