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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
おそるおそると側まで近づく。誰だろう、と考えたところでやや馬鹿らしくなった。外部から侵入者でもない限り、可能性としては三択。
否、こんなことをするのは、中でも一人しか心当たりがない。さっきのあざとすぎる寝息が、既に答えといっても過言ではないだろう。
いっそ頭からかぶっている毛布を、一息に剥いでやろうかとも思うが、騒がれても面倒なので、肩と思しき辺りをポンと叩くと、こんな風に声をかけた。
「夏輝さん」
「うーん……なぁに?」
「なぁに、じゃなくて。とりあえず、起きてくれ」
「はーい……」
怠そうな返事の後、のそのそと緩慢な動きで、毛布から起き出してきたのは、やはり夏輝木葉だった。それにしても――
「ふあぁ、お兄さんでしたかぁ。どーも、おはようございまーす」
「はあ……」
「あれ? いきなりため息ですかぁ。まずは挨拶でしょ。朝の挨拶は特に大事ですよー」
「おはよ、夏輝さん。確かに挨拶は大事だね。でも、それよりも今は気になって仕方ないことがあるんだけど」
「うーん、なんですか?」
俺はあえて再び大きなため息を吐くと、まだベッドの上の夏輝木葉に聞く。
「キミがどうして、俺のベッドで寝てるかってこと」
その質問には応えずに、夏輝木葉はとぼけた顔で言う。
「その前に、今何時ですかぁ?」
「時計ならそこにあるよ」