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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
やや面倒に感じながらヘッドボードの上の時計を指すと、現在の時刻を確認した上で彼女はなぜか意味ありげに、ニヤッとほくそ笑んだ。
「ふふ……朝、ですね」
「ん? まあ、そうだけど」
「ということは、お兄さーん」
「なに?」
「今朝は朝帰りだった、ということになりますねー」
「うっ……それは」
問い詰めていたのはこちらだったはずなのに、まだ寝ぼけ眼の娘にすっかり虚を突かれてしまった。
「言い逃れは、おすすめしませんよ。だって私ぃ、昨夜零時前には、このベッドにいたんですもん。で、そのまま今まで寝てしまったのですから」
だから、なんで俺のベッドで? と、その疑問を今は飲み込むしかない。その前に、適切なエクスキューズを施さなければならないが。
「その、事情があったんだ……だから」
「ほほぉ、事情ですかぁ」
夏輝さんは、からかい半分にそう繰り返した後。
「ところで文水さんは? 一緒に朝帰りしてきたんでしょう?」
彼女とすれば、更に俺を煽ったつもりだろう。しかし、その名を持ち出されたことで、却ってこちらは平静を取り戻すことになった。
「ああ、その点について先に言っておかなくちゃ」
「なんですか?」
「高坂さんなら、もう別荘には戻らないよ」
「は?」
流石に想定外だったのだろう。夏輝さんは眠い目を軽く擦ると、パチクリと瞬きをして俺の顔を見返している。