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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
俺があっさりそう答えると、張り合いがなかったなかったのか、夏輝さんは悩ましげに首を傾げて唸った。
「うーん……じゃあ、ひとつだけ確認ですがぁ」
「なに?」
「お兄さんは文水さんと、現時点で既にいい仲になってたりします?」
その問いに、俺はこう即答する。
「なってないよ」
残念ながら、と心の中で補足はあるものの、少なくとも嘘にはなってないはずだ。現時点でというのなら、それは確実に。
というか、そもそも――。
「じゃあ、いいです」
「ん?」
「今日のデート。予定通り私とお願いしまーす、ってことで」
「あ、ああ」
「うふふふ。じゃあ、早速お洒落してこなくっちゃ」
夏輝さんはベッドから勢いよく立ち上がると、書斎を出る前にもう一度こちらを振り向いて言った。
「出発は二時間後で、お願いしまーす!」
バタンと音を鳴らしドアが閉ざされた時、俺は一気に疲れを感じてベッドに座り込んだ。
結局、なぜ俺のベッドで寝ていたのか。その理由も聞けないまま、終始彼女のペースに呑まれてしまった。右手で触れた毛布に、まだ温もりを感じる。
そういえば、このベッドで……。
あれは四人が訪れた初日の夜。酒に酔いつぶれた俺は、相手が誰かも定かでないまま、一人の女を抱いた。それが誰だったのか、既に答えは導かれている。
それだけに――
「今日は今日で、ハードな一日になりそう……だな」
俺はそんな独り言を呟くと、さっきまで夏輝木葉の寝ていたベッドへと倒れこんだ。ほんの小一時間ほど、仮眠を取るつもりで――。