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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「なあ、みず――!」

 再び声をかけようとした時、不意に襖が開かれていた。しかし――

「こんな朝から、どうしたの?」

「あ、ああ、悪い。ちょっとだけ、話しておきたいことがあって」

 襖が開かれたのは、ほんの僅かな隙間。そこから、瑞月は片方の目だけを覗かせている。

 まだ寝ていたのか、部屋中は暗かった。瑞月の瞳だけが、廊下からの明かりをぼんやりと映している。

「み、瑞月?」

「なに?」

「いや、だから話が」

「いいよ。そのまま、して」

 瑞月は片目だけで俺を見据えながら、その様に言う。どうやら襖を大きく開いて顔を合わせる気はないみたいだ。

「……?」

 その時、そこはかとない違和感を覚えた。だけどそれが、なんに対してなのか、この時は気づくことができなかった。

 だから驚くことになるのは、次の日ということになるのだが……。

「それで、話しておきたいことって?」

「あ、ああ……それがさ」

 俺は一旦咳払いをしてから、襖の隙間の瑞月に向けてこう切り出した。

「高坂さんは、この旅行を終わりにするそうだ。つまり、もう別荘には戻ってこない」

「ふーん……なにか急用でも?」

「いや。そういう理由じゃなさそうだけど……」

「じゃあ、どんな理由?」

「それは――」

 言葉に詰まった俺を一瞥すると、瑞月は事も無げにこんな風に言う。

「まあ、勝手にすればいいけどね。それで、私にはなにか言ってた?」

「ああ、えっと……契約(やくそく)を果たせなくて、ごめん――とか」

「!」

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