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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「最近、どう?」
そこはかとない緊張を滲ませながら口をついたのは、自分でも呆れるぐらい間抜けな問いだった。
「最近……ですか?」
不思議そうに小首を傾げた彼女を前に、俺は必死に取り繕おうとするのであるが。
「あっ、いやいや。なんというか、その……そう! その後のこと」
「その後?」
「うん! つまり、その……今、つっちーは元気かなって、思ったり……してさ?」
我ながらどうして、こうも不自然な態度になってしまうのか。どうにも会話の流れを立て直せない俺を、救ってくれたのは彼女の些細な反応だった。
くすくす。
「つ、つっちー?」
「あ、笑ったりして、ごめんなさい。だけど、なんだか――」
「なんだか?」
「いえ……嬉しいような、それでいて照れくさいような、そんな気分になって、それで」
「つっちー……?」
向かい合った位置関係を解き、つっちーはリビングのソファーを回り込むようにして、カーテンの前に進みそれを徐に開いた。中庭方面から差し込んだ朝日が、パジャマ姿の彼女の輪郭を淡く浮かび上がらせている。
「いい天気」
「あ、ああ」
隣に並び立ちそう答えながら、俺が眺めたのは彼女の横顔。光を前にやや細めた瞳が、緩やかに揺れていた。すると次の刹那、その瞳が不意に俺へと注がれることに。