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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
髪を掻きながら、正直ホッと胸を撫で下ろす自分がいる。「最近、どう?」なんて間抜けな会話の取っ掛かりも、彼女のその辺りの心情を探りたかったからに他ならないのだから。
「だけど、気づけたからといって、そう簡単に変われるほど、人って便利な生き物ではないんですね」
「つっちー、それってどういう意味?」
聞くと、彼女は再びガラス戸から、朝露に濡れた中庭の芝生を見つめ、言った。
「昨夜、夜中にふと目覚めると、なぜだか木葉ちゃんは隣のベッドにいなくって、私は部屋に一人きりであることを自覚します。そしたら、急になんだか心細くなって……また闇が私を飲み込みにくる。そんな不安が、不意に過ったんです」
やはり、まだ……。だけど、そうなのだろう。彼女の過去を鑑みれば、そのくらいは。
「私、あの時に見た夕陽を思い浮かべました」
「えっ?」
「涼一さんと一緒に見た、あの夕陽を必死に。でも、そしたら」
「そしたら?」
「いつの間にか、私……自分の身体を……慰めはじめていて」
「なっ、なんで?」
「思い浮かべた夕陽の中に、涼一さんの顔が見えたんです。そしたら、その……顔だけでなく、涼一さんとのいろんな場面が、次々に思い起こされていて……」
恥ずかしそうに言いながら、俄かに身を捩るつっちー。
「あ、そうなんだ……」
こんな風に言われてしまえば、俺の中にも蘇ってきてしまう。ホテルで求められるまま抱いたこと。瑞月にキスされると同時に、つっちーの口の中で果ててしまったことも……。
「ごめんなさい。我ながら恥ずかしいです、とっても」
「気にすることじゃないよ。そんなの俺だって……というか、じゃあなんで俺に話すの?」
「それは――」