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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
彼女は振り返り、今度は淀みのない視線をこちらに向ける。
「別に自分で慰めることが解決になるなんて、思ってるわけじゃないんです。私の場合、セックスに依存したのは性欲に起因したものではないから、それも当然ですね」
そう。彼女は自分の闇を覆い隠す媒介として、男たちの欲望を利用することしかできなかった。そこに後ろ暗さがあったのだろう。相手になる男たちにとって性欲の捌け口でしかなかったとしても、彼女はそれを受け入れ続けた。
彼女はその傷とも向き合うことになる。たとえ、闇が晴れたとしても。
「それでも私、同じことをしてしまいます、きっと……昨夜みたいに、涼一さんのことを想いながら」
そう言いながら、また頬を染めたつっちーは、しかし次に笑顔を浮かべて、言うのである。
「こんなエッチな気持ち、どうか許してくださいね」
「つっちー……」
「他には、なにも望みませんから」
浮かべた笑顔に比して、その消えてしまいそうな呟きを耳にした刹那、俺の中で急激に膨らみゆく感情があった。
その正体を探り当てようとするより先、俺は無意識に両手を伸ばすととりあえずそれを彼女の両肩に、そっと。
「涼一さん?」
俺を仰いだ漆黒の瞳。それごと抱きしめようと――たぶん、俺はそうしようとしていた。
だが、まさにその時である。
「ああっ! こんなところで、イチャついてるしー!」
「な、夏輝さん!?」
驚いた俺は、咄嗟につっちーから身体を放した。
すると、仁王立ちに腕組み。ぷっと頬を膨らませ、彼女は高らかに宣言するのである。
「お兄さん! 本日のデートのお相手は、この夏輝木葉ですよっ!」
デート三日目、晴天。本日は果たして、どんな一日になることやら。
少なくともこの時点にいて、あまりいい予感はしていないのであるが……。