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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「ふ、復讐……?」
そうと聞いて、俺の心臓はドキリと大きく脈打ってしまった。
「ええ、そうです」
それに対して夏輝木葉は、まるでこちらの内面を見透かしたかのように、どこか余裕を感じさせる笑みで答えた。
「じゃ、じゃあ……夏輝さん、キミは……」
「んん? キミは、なんです?」
「いやっ……だから、あの時の……」
「あの時って、どの時のですかー?」
「だっ……だから、それは……」
俺は大いに動揺していた。それは取りも直さず、夏輝木葉の発した『復讐』という言葉を前に激しい焦りを感じてしまったから。否、もっと言うのなら、その感情を向けられることに、身に覚えがあったからに他ならない……。
瑞月たちを迎えた例のあの夜、俺のベッドに潜り込んだ相手がこの夏輝木葉だと確信してから、俺は彼女がそうした理由について考えていた。
もちろん、男と女のことだ。会ったその夜に関係をもったとしたって、それ自体はそれほど珍しいことではないのかもしれない。奇跡的に彼女の男性の好みに、俺がドンピシャで合致してしまうことだって……否、まあ可能性としては、やはりゼロに等しいか。
大体、彼女は瑞月の友達である。後に他の二人については、実はそれほど仲良くはないと知れることになるのだが、夏輝さんが友人であることは瑞月自身が認めていること。その友人の兄に対して会ったその夜に、しかも他の三人に気づかれるリスクを追ってまでとなると、仮に第一印象で多少の好意を抱かれたとしても、それを動機とするのは明らかに弱すぎるだろう。