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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
その上この夏希木葉という女の子は、一見すると性的な匂いをあまり感じさせない存在だ。それは決して、彼女に魅力がないというわけではない。普段の屈託のない笑顔だったり、無邪気な言動や行動だったりが、そういう類のものを遠ざけて思えるのかもしれない。
だからこそ、それは表層。俺は二人きりになったいくつかの場面で、それを実感した。だからといって彼女の本質を捉え切れてはいないが、少なくとも性に奔放といったタイプとは考えにくい。
そうなると彼女が俺と身体の関係を結んだことには、もっと確固たる想いがあるはずだ。その思念が、ポジティブなものかネガティブなものかと考えた時に、俺はやはり後者であるような気がした。
俺、あるいは瑞月に対して、なんらかの私怨があるのではないか。そう仮定した時に、俺の中に一つ嫌な予感が生じた。それは瑞月に対してではない。やはり、俺に対して向けられるものとして……。
そういったこれまでの内なる考えが、今の彼女の『復讐』という言葉によって一気に真実味を帯びてしまった。だからこそ、俺は動揺を隠せないでいる。
「ねえねえ、あの時って、いつのぉ?」
運転する俺の耳元で、彼女は吐息と共に甘い声を発する。