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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密
「な、夏輝さん……」
「ねえ、いつのこと? あ、じゃあー。一緒に何年前の出来事か言ってみましょうか? 二人で思ってるのが同じかどうかー。うふふ、そうしましょう!」
俺と夏輝木葉は、この夏が初対面だ。少なくともきちんと顔を合わせたのは、俺のいる別荘にバカンスで訪れた瑞月たち四人を駅まで迎えに行った、あの時がはじめてである。それは間違いない。
「じゃあ、いいですかー? あの時というのはぁ――せーの!」
だけど俺と彼女の間には、確かに只ならぬ因縁が存在する。
「――よっ、四年前?」
「――四年前でーす!」
やはり、そうなのか。俺はこの夏にはじめて会った彼女のことを、心の片隅ではいつも留めていたということ。
「むかしむかし、あるところに一人のいたいけな少女がいました。あはは、むかしといっても、それはたったの四年前の出来事なのです」
「……」
俺はハンドルを握って前を向いたまま、彼女の言葉に耳を傾けている。否、今はそうするしかできない。嫌な汗が背中に滲んでいた。
そんな俺を気にも留めず、夏輝さんは語り続ける。
「少女は、まだ十五歳になる前の中学三年生でした。お年頃ですが、まだ恋というものとは無縁です。遊ぶのも、いつも女の子の友達だけでした。もちろん異性にだって興味はありましたが、恋愛とかそういうのはもう少し先のことだと思ってたんです。それなのに――」
ギクリ――。俺は思わず彼女の横顔を見つめた。