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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


 青き愚かなる性。その一件は、俺の十六歳の誕生日のことだった。背中を流してもらう、という名目で五月女さんと共に入浴。しかし、それだけで済まなかった思春期の性は、美しくも冷淡な五月女さんの手や口の行為によって、あしらわられた挙げ句に白い液粒となって弾け飛んだ。

 その時の全身が震えるような快感と直後に訪れたある種の情けなさや惨めさ。その二つを同時に身に宿した刹那の戸惑いを、俺はそれからもしばらく拭い去ることができずにいた。

 俺と五月女さんは、あれから――。


     △     △


「ここまでで、わからないところは、ありますか?」

「え……っと?」

「もしかして、聞いてなかったんですか?」

「あ、すみません。少し、ぼーっとしてて……」

 そう答えると、五月女さんは紅い唇から、ふっと小さくため息を吐いた。

「集中していただかないと困ります。テストが近いのでしょう?」

「そ、そうですよね」

 デスクの棚の片隅に張られた日程表を眺めながら、俺は頭を掻いた。確かにテストは、もう来週に迫っていた。

「とりあえず、コーヒーでもお持ちしましょう」

 五月女さんは言うと、デスクに寄り添うように座していた椅子から立ち上がり、書架に挟まれた狭いスペースを通りドアを開くと部屋から出ていった。

 両脇に並んだ書架のスペースを含み入れても、広さとしては六畳にも満たないだろう。間違いなく書斎として使われていたと思しきこの一室は、奇妙なくらい縦長の長方形だ。左右の壁に書架が存在する分、更にそれは顕著であり、ドアからデスクのある壁際までが短い通路のようだった。

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