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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第10章 木葉の秘密


「どうぞ」

「あっ、りがとうっ、ございます」

「? どうかしましたか」

「いいえ……ちょうど喉が乾いてたから」

「それでしたら冷たい飲み物もお持ちしましょうか?」

「いいです、これで――あちっ!」

 狼狽えた自分を誤魔化すようにコーヒーを口にすると、今度はその熱さに驚いた。慌ててマグカップを傾けた拍子、コーヒーの滴を辺りに飛び散らせてしまった。よりによって、五月女さんの立つ方向に。

「だ、大丈夫ですか?」

「……ええ、特に問題はありませんので」

 そう答えながら五月女さんは一旦トレイをデスクに置き、それから胸元のニットを肌から離すように摘まんだ。

「あっ……!」

 薄ピンク色の胸元にコーヒーの染みができていた。

「すみません! 火傷とかは――?」

「大丈夫です。只――」

「ただ?」

「着替えを用意しておりません。涼一さんの服、なにかお貸しいただけませんか?」

 この頃、五月女さんは通いで俺の元に来ていたので、用意がないのも当然のこと。

「それなら、すぐに」

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